空海も見つめたご本尊

アート

創建1200年記念 
特別展「神護寺ー空海と真言密教の始まり」


2024年が神護寺創建1200年と、空海生誕1250年に当たることを記念して、東京国立博物館で開催されている神護寺展。パンフレットの冒頭に書かれていた「空海も見つめたご本尊 京都から上野へ」のキャッチコピーに惹かれ、行ってきました。

神護寺は、中国・唐から帰国した空海が活動の拠点とした寺院で、真言密教始まりの地でもあります。今回、空海が筆を入れたと伝えられている、国宝「両界曼荼羅(高雄曼荼羅)」が展示されるので、とても楽しみにしていました。
曼荼羅は、宇宙の本質的真理、仏の悟りの境地を示し、密教の世界を表現しているそうです。
いざ両界曼荼羅の前に立つと、4mにも及ぶ大きさに圧倒され、しばしいにしえの世界に引き込まれてしまったよう。1200年の時を超え、今まさに私も同じ曼荼羅を見ていると思うと感無量でした。

国宝 薬師如来立像(※最初の画像)は、平安初期彫刻の最高傑作と言われています。
このご本尊は、高雄山の中腹に建つ神護寺の金堂の厨子の中に祀られているそうですが、1200年の節目の年とはいえ寺を離れるのは初めて。奇跡の出来事だそうです。
中央に国宝 薬師如来立像、右に重要文化財 日光菩薩立像、左に重要文化財 月光菩薩立像が並んで展示されて、後ろには回れませんが、会場ならではの横からのお姿を見ることができ、しばし美しいお姿に見惚れていました。

一際目を引いたのが、色鮮やかな截金文様平安仏画の名品、国宝 釈迦如来像でした。
縦160cm近い大型のこの作品は、衣に用いられた深く美しい水銀朱の赤が際立っているので「赤釈迦」との愛称でも親しまれているそうです。
衣の輪郭線には体の起伏に合わせて、衣の上にレースのようにかぶせられた裁細な截金文様や光背の宝相華文様などに金色が施され、まるで宝飾品のような完成度を持っています。神護寺では「法華会」を開いていたので、高雄の法華会の御本尊と考えられています。

先日、Add PURE でご紹介させていただいている截金の長谷川天幸さんが、ボストン美術館展の時現地のボストン美術館に行って「馬頭観音」の作品の調査に加わり、帰国後馬頭観音の截金を再現される動画を拝見したばかりで、その時の截金の素晴らしさの感動が蘇ってきて、またまた感動でした。
NHK BS プレミアム 「平安仏画 驚異のの煌めきの秘密」はこちら↓
https://addpure8.com/kirikane-hasegawatenko/

最後のこのコーナー、二天王立像(平安時代)の前でのみ撮影OKだったので、今日の感動をこの1枚に収めました。