[特別展] 没後25年記念
「東山魁夷と日本の夏」
今回、山種美術館が所蔵する東山魁夷の作品を全公開するとの事で、どんな作品が展示されているか、ワクワクしながら会場へ。
美術館に着いたら、入口付近に人が溢れかえっていて、チケットを買うのにも長蛇の列。会場もたくさんのお客さんで混み合い、作品もなかなか見れない状態でした。何度もこの美術館に行っていますが、こんなに混んでいたのは初めて。いきなり東山魁夷の人気の高さに圧倒されました。
ポスターにも載っている、9m以上もある東山魁夷の代表作「満ち来る潮」、あまりの素晴らしさに暫し釘付け。美しい青緑色の海、打ち寄せる波が岩礁にぶつかり砕け散る様がとても美しく表現されていて圧巻でした。このキラキラ感が、たまらなく美しい〜。
東山魁夷が2年間のヨーロッパ留学を終え、船で帰国した時「日本の海は、緑青と群青でできている」そんなふうに実感したそうです。
通常白で表現される部分は胡粉を使うそうですが、この作品では胡粉は一切使われず、プラチナの砂子(プラチナの粉)を撒いたり、箔をちぎって置くなど新しい手法が使われています。胡粉よりもプラチナの方が装飾効果も高く、作品に重厚感や品格をもたらすとともに、煌めく波の質感も表せると考えたからと書かれていました。(金を使ったのも同じ理由です)
展示されている作品は、山種美術館の創業者 山崎種二氏が、皇居新宮殿に納められた「朝明の潮」の作品を見て、一般の人たちにも見せたいと、魁夷に同じような作品の制作を依頼したそうです。山崎氏のお陰で私たちもこのような素晴らしい作品を見ることができて、感謝ですね。
皇居の作品はゆったりした静的な構図ですが、魁夷自身が思案の末、満ち来る潮がしぶきをあげる動的な構図を思いつき、この作品が生まれました。
岩と波のスケール感は変えず、画材や描き方も同じようにしている為、まるで同じ海の異なる表情を見ているような作品だそうです。
「異なる海の表情見てみたい」と、無理と思いつつも妄想が膨らみます。
ミュージアムショップで、この作品が表紙になっている本を見つけ迷わず購入。家に帰って本棚を見たら、同じ本が…..
積読せず、ちゃんと読まなくては、と大反省でした。