中嶌虎威 展

展覧会

中嶌虎威 展 ー日本画であるために

友人と千葉の流山にある森の美術館で開催されている中嶌虎威(Nakajima Toratake) 展に行ってきました。
以前友人が銀座のギャラリーさんで、中嶌先生のチラシを見て素晴らしかったので「 ぜひ美術館で見てみたい 」ということで実現。
そんなに遠くないのですが、知らない土地の美術館なので期待に胸膨らませ、ちょっと小旅行気分。

私は今回初めて中嶌先生の作品を拝見したのですが、濁りのない美しい色遣いに感動しました。

写実的に描かれていたり、琳派のようにデザインチックに描かれていたりと画面いっぱいにたくさんの花々が描かれている作品の前で、釘付けでした。
こんなにたくさん描かれているのにごちゃごちゃした感じがなく、美しい色と配置のバランスが絶妙。
細く描かれている線の一本一本が美しく、迷いのない勢いを感じて見入ってしまいました。

⑴ 月光 第50回 亜細亜現代美術展東京都知事賞 2014 
⑵ 浄  第53回 亜細亜現代美術展 文部科学大臣賞 2017
⑶ 望郷 第57回 亜細亜現代美術展 亜細亜大賞(グランプリ 2022 

「 中嶌先生は、真の日本画の魅力とは何か、追究した先に 岩絵具の美しさ 線描の力 をあげています。
日本画の特質を 平面的に描いて立体を表すとし、陰影をつけずに線によって立体感を表すことで、岩絵具本来の濁りのない美しい色彩と輝きを損なわずに表現できる。
そこには卓越した筆の運びによる線描が必要で、その力を十分に鍛錬をすることが必要とおっしゃっています。
今年80歳を迎えてもなお、衰えることのない日本画の魅力への探求心が、絢爛さ、清新さを感じる作品を次々と生み出しています。」
このように紹介されいました。

左側の作品は、第16回シェル美術賞展 2等賞受賞作品(1972年)
東京藝術大学卒業5年後の作品。
この2作品は、絵筆を一切使わず、先生と奥様が作品の両端を持って、絵具の滴る様子を見ながら動かして制作された作品だそうです。
美術館の方に説明していただいて、びっくり!
50年も前に絵筆を使わず描こうと思われたこと自体驚きですね。
あまり評判も良くなかったことから、この後から画風が変わったそうですが、当時としては発想が斬新過ぎたんですね。まさに現代アートの走りですよね。

作品を鑑賞した後は、好みの飲み物とお菓子をいただきながら、外の緑に癒されながらカフェタイム。これ600円の入館料に含まれているって凄いですよね。嬉しいサービスにほっこり。
緑に囲まれた素敵な美術館で、友人と作品を前に色々と話せたり、美術館の方に作品に関してお話を伺ったりとアート三昧の素敵な1日でした。

森の美術館の展示会の動画が公開されていました↓
https://youtu.be/_kdayFzgmqw